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◆ 電力測定の基礎(基本的知識と測定事例)〜単相電源編〜
電気機器には、単相電源で動くものと三相電源で動くものの2種類があります。いずれも、電圧の大きさと向きが一定となる直流電源(例えば乾電池)ではなく、これらが時間的に変動する交流電源です。
単相電源は、1つの波で電気を送る方式で、家庭用コンセントで使う家電製品のように、あまり大きな電力を消費しない機器で使用されます。三相電源は、波の位置が120°ずつずれた3つの波で電気を送る方式で、配線や機器が複雑になるなどのデメリットはありますが、モータを安定して動かすなどのメリットがあり、工作機械のように大きな電力を消費する機器に使用されます。
電気会社が電気料金を計算する際のもとになる「消費電力」は、実際に送電線から供給される電力とは異なり、「有効電力」と言われます。有効電力を測定することは、電気製品の省エネ性能評価や事業所でのコスト削減(電気料金)にとって、非常に重要です。今回は、電力測定を行う上で必要な基礎知識と単相電源を使用する電気機器の有効電力を測定する方法について説明します。
電力(W)は、電圧(V)×電流(A)ですが、単相での有効電力は、以下の式(1)で表現できます。
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※実効値:交流の電圧や電流は時間とともに常に変化していますが、実際に(直流と同じだけの)仕事をする強さとして表した値です。
※cosθ:力率(りきりつ)といい、送られた電気がどれだけ有効に利用されているかを示す割合です。
※θ:電圧と電流の位相差(波の周期のずれ)
単相電源、三相電源ともに交流電源であることから、電圧の大きさと向きは時間と共に変化します。図1は、一般的な家庭用電源(実効値100V)の波形を示したものです。私たちが普段「100V」と呼んでいる電圧は実効値(電圧実効値)のことであり、波形のピーク(最大値)の瞬間には、理論上、約141Vまで電圧が高くなっています。負荷となる電気機器が抵抗のみで構成されていれば電圧と電流のピーク位置が同じですが、抵抗以外のコイルやコンデンサー等の他の電子部品があると、図2のようにピークの位置がずれてきます。電圧と電流の波形が理想的な正弦波形である場合は、両ピーク間の時間的なずれを角度に換算したものが位相差となります。
有効電力の測定では、図3の負荷にあたる電気製品にかかる電圧と電流を、図の位置(Ⓐ、Ⓥ)で、同時に測定する必要があり、それが可能な電力計を使います。ここで、皮相電力について説明します。
皮相電力は、電源から送り出される全体の電力のことで、ボルトアンペア(VA)という単位で表されます。電気製品の仕様書や、送電設備の設計にはこの皮相電力が必要です。皮相電力は、実際に熱や力として消費される「有効電力P (W)」と、消費されない「無効電力 Q (var)」に分かれます。これらは単純な足し算ではなく、以下の式(2)で表現されます。また、それを図示したものが図4となります。
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なお、一般家庭の電気料金は主に使用した有効電力量を基に計算されますが、無効電力(var)が大きくなると送電効率が落ちるため、産業用の大口契約などでは力率によって料金が変動する仕組みがあります。
図5は、電力測定を行っている時の状況です。ディスクファンにかかる電圧と流れる電流を電力計で測定しています。電流センサーや電圧プローブを接続しやすくするため、電源線の途中に端子台(電線をつなぐための接続部品)を設けています。電流は、端子台から負荷へ向かう配線の途中に電流センサーを設置して測定し、電圧は、端子台の端子間電圧をワニ口プローブで測定しています。図6に、図5の結線を示します。
図7は、測定時の電圧と電流の波形を表示したものです(図2参照)。電流波形にはわずかな歪みがありますが、ほぼ正弦波となっています。理想的な正弦波では、電圧と電流のピーク位置のずれから位相差を求めることができます。正弦波の1周期は360°であることから、図7では電流が電圧に対しておよそ60°遅れていることが分かります。これは、ディスクファン内部のモーターに含まれるコイルの影響によるものです。
図8は、測定結果です。図8の測定結果から、③有効電力が「①電圧実効値×②電流実効値×④力率」で求められていることが確認できます。
今回は、単相電源を使う電気機器の電力測定事例として、省エネや電気料金の把握に役立つ有効電力の測定方法をご紹介しました。当センターの電力計は、依頼試験や設備使用でご利用いただけます。測定方法のご支援も行いますので、お気軽にご相談ください。
9月号では、三相電源を使う電気機器の電力測定について紹介する予定です。
当センターで保有する電力計は、以下のページで紹介しています。
https://www.itc.city.hiroshima.jp/setsubikiki/setsubikiki-5/5-10.html
問い合わせ先
工業技術センター システム技術室
TEL : 082-242-4170(代表)
E-mail : kougi@itc.city.hiroshima.jp