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塗装とは塗料を対象物の表面に塗布することであり、塗布した塗料が乾燥・硬化した後に形成される膜のことを塗膜と言います。鉄鋼製品の多くは、さびを防ぐことや外観を美しくするために塗装が施されています。
2026年春に、中東情勢の影響で塗料が手に入りにくくなり、値上げや出荷制限が相次いだことから、多くの企業において、使用塗料の変更を余儀なくされました。それにより、当センターにも塗料変更に伴う性能評価に関する相談が多数寄せられました。塗膜の評価項目は、耐食性(さびを防ぐ性能)、付着性、硬さ、衝撃や曲げに対する強さ、耐候性、耐薬品性など多岐にわたります。その中から、今回は塗膜の付着性について、その調査方法と合わせて紹介します。
塗膜の付着性とは、塗膜が下地(素地)に対してどの程度強固に付着し、はがれにくいかを表す性能になります。つまり、塗膜の付着性が良好な場合、塗膜の剥離、膨れ、めくれなどが発生しにくくなります。しかし、逆に付着性が不十分な場合、塗膜本来の防食性や耐久性を十分に発揮できないということになります。
今回は、塗膜の付着性を評価する代表的な試験方法として、JIS K 5600-5-6に規定されるクロスカット法をご紹介します。このクロスカット法は、図1に示すように塗装した試料面に対して、素地に達する切込みを縦横6本ずつ入れ、25マスの格子を作ります。切込みの間隔は、塗膜の厚さや素地の種類に応じて1 mm、2 mmまたは3 mmとします。そして、格子の上に透明な粘着テープを貼った後に、テープを引きはがし、塗膜のはがれ方を観察します。
はがれの程度は0〜5の6段階の「分類」(図1)で表し、数字が大きいほど、はがれが多いことを示します。分類0は、はがれが全くない状態です。分類1は切込みの交わる所に小さなはがれがある状態、分類2は切込みの縁に沿って、または交わる所ではがれがある状態、分類3は切込みの縁に沿って大きくはがれたり、マスの一部または全体がはがれたりしている状態です。分類4・5は、さらに大きくはがれた状態です。JISでは、一般的な目的であれば分類0〜2を適合とし、合否を判定するときはこの範囲を用います。ただし、実際にどの分類までを合格とするかは、製品の用途や取引先の仕様によって決まります。
ここで、当センターで実施した試験例を紹介します。これまで使用していた塗料が入手できなくなったため、代替品を選定するにあたり付着性を比較評価したいとの相談がありました。従来の塗料で塗装した板は、はがれのない分類0(図2)でした。一方、塗料を変更したものの中に、切込みの縁に沿ってはがれが生じる分類2(図3)の結果となったものがありました。試験依頼者は、試験結果を踏まえて変更する塗料を選定するとのことでした。
実際に塗料を変更すると、見た目は問題なく塗れていても付着性に差が出ることがあります。付着性の低下はトラブルやクレームにつながるおそれがあるため、変更の前後で性能を比較評価しておくことが大切です。
以上、塗膜の付着性についてご紹介しました。当センターでは、クロスカット法による付着性試験を実施しています。他にも、塗装(塗膜)の性能に関する試験を多数実施しています。必要な試験は、製品の用途や評価する性能によって異なります。塗膜に関するご相談は、まずはお気軽に下記までお問い合わせください。
(1試料につき)
・付着性試験:2,000円
工業技術センター 材料技術室
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E-mail : kougi@itc.city.hiroshima.jp