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◆ 電力測定の基礎(基本的知識と測定事例)〜三相電源編〜
電気機器には、単相電源で動くものと三相電源で動くものの2種類があります。工場で使う製造機械やコンプレッサーなどの大きな電力が必要な設備は、三相電源を使います。本号では、三相電源で動作する機器の電力測定方法とその事例について紹介します。
三相電源の電力供給方式には、三相3線式(図1)と三相4線式(図2)があります。三相3線式ではR相、S相及びT相の3線、三相4線式ではR相、S相、T相及びN相の4線で電力を供給します(図1、2)。R相、S相及びT相の各電圧は同じ大きさで周期的に変化しますが、それぞれの変化するタイミングが異なっています。そのため、電気機器への接続が正しくないと、意図しない動作や運転不良の原因となります。N相は中性線とも呼ばれ、各相の電圧を安定させる役割を持っています。それぞれの方式での電源ケーブル内の線数は、アース線(接地線)があるため、三相3線式では4本、三相4線式では5本となっています。なお、図3は、三相3線200V用の電力ブレーカー付近の配線です。
省エネに取り組むうえで、設備の有効電力を測定することはとても重要です。工場や生産設備で使用される産業機械の多くは三相3線式で電力供給されており、本号では三相3線式の電力測定について紹介します。三相3線式における電力測定方法には、2電力計法と3電力計法がありますが、一般的に広く使用されている2電力計法での測定方法について紹介します。
図4に2電力計法で測定する際の結線図を示します。電圧・電流の測定箇所は2か所ずつになります。図中では、R-S間及びT-S間の線間電圧測定を行っています。
2つの線間において、それぞれ有効電力を測定します。その和が測定対象となっている電気機器全体での有効電力となります。図4でいうと、R-S間電圧(R相とS相の間の線間電圧)とR相電流から求めた有効電力をP1(W)、T-S間電圧(T相とS相の間の線間電圧)とT相電流から求めた有効電力をP2(W)とすると、測定対象全体での有効電力P12は、式(1)になります。
P12=P1+P2・・・・・ (1)
(1)測定方法
スポットクーラーの有効電力測定の事例を紹介します。このスポットクーラーの仕様は、銘板によれば、図5のように三相3線200Vの電源で動作する電気機器であり、電源周波数60Hzの場合、有効電力は0.86kWとなっています。なお、有効電力は、一般に消費電力とも呼ばれます。
図6は、スポットクーラーの三相電力測定状況です。スポットクーラーの電源ケーブルは1本のケーブルの中にR相、S相、T相及びアース線がまとめられているため、そのままでは電流センサーや電圧測定プローブを取り付けることが困難です。そこで、施設の三相電源コンセントとスポットクーラーの電源ケーブル間に測定用ケーブル及び端子台を設け、各線を個別に取り出せるようにしています。端子台でR相電流、T相電流及びR-S間電圧、T-S間電圧を測定し、電力計へ入力しています。(2)測定結果
図10は、周囲温度20℃ 、相対湿度56% の環境下で行った電力測定結果です。P1+P2の和であるP12がスポットクーラー全体での有効電力を示しています。なお、測定は運転開始して約20分後、安定した状態になった段階で実施しています。この測定結果をみると、有効電力は銘板のものより15%程度低い値(0.73kW)となっています。銘板には、実際に本機器が使用される蒸し暑い夏場のような環境下での有効電力が記載されていると思われますが、今回は涼しい環境下で測定したため、スポットクーラー内部のコンプレッサーにかかる熱負荷が小さく、有効電力が小さくなったと考えられます。
図11は、周囲温度34℃ 、相対湿度60%の環境下で行った電力測定結果ですが、この時の有効電力は、銘板と同じ値(0.86kW)となっています。このように測定環境により電力測定の結果が変わってくる場合がありますので、実際の使用環境に近い状態で測定するなど、注意が必要です。
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