広島市工業技術センター

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技術情報「包装貨物の振動試験JIS規格の改正」

◆ 振動試験について
 当センターでは、大型振動試験機を利用して、多様な振動試験を行っています。振動試験は、製品開発や品質保証において極めて重要な役割を果たします。包装貨物の振動試験は最も頻繁に行われる試験の一つであり、輸送時に発生する振動に対する製品の耐久性を調べるものです。JIS規格では、JIS Z 0200:2023「包装貨物ー性能試験方法一般通則」にその試験方法が規定されています。
 今回は、振動試験の目的、重要性、手順、及び2023年1月に改正されたJIS規格の内容について紹介します。


振動試験機での試験状況

◆ 振動試験の目的
製品の設計妥当性を検証します。
1 製品の健全性評価  : 製品使用環境下で受ける振動に対する強度性能の確認・検証
2 振動特性の把握   : 製品の固有振動数、減衰比、振動モードなどの特性の測定
3 輸送時の耐久性評価 : 製品輸送時に受ける振動に対する耐久性の確認・検証

◆ 振動試験の重要性
振動試験機は、製品開発において最も重要な設備の一つです。この試験機を通じて、企業の皆様は以下のメリットを得ることができます。
1 製品の耐久性を事前に検証
2 潜在的な品質リスクの早期発見
3 設計改善のための具体的なデータ取得
4 顧客満足度と製品信頼性の向上

◆ 振動試験の手順
1 振動方向の設定
 振動を与える方向は、使用状況や輸送条件に応じて設定します。多軸の振動試験機では振動の方向を指定できますが、当センターが保有する単軸の振動試験機では加振台への製品の取り付け方向または加振機の向きを変えることで対応します。
2 製品の固定
 振動試験機の取付面に試験対象となる製品をしっかりと固定します。
3 試験タイプの選択
 振動試験の種類には以下のものがあり、目的に応じて選択します。
(1)ランダム振動試験
 さまざまな周期の振動を重ねた周期性のない複雑な振動を与える試験です。使用中や輸送中に製品に発生する振動のほとんどはランダム振動です。
(2)正弦波振動試験
 周期性のある正弦波振動を与える試験です。次の2つがあります。共振周波数等の特定の周期の振動に対する特性を調べるために実施します。
 ○スポット試験 : 正弦波振動の周期を一定に保つ試験です。
 ○正弦波掃引振動試験 : 正弦波振動の周期を時間経過とともに変化させていく試験です。
4 試験条件の設定
 正弦波振動試験の場合 : 振動の周期、振幅、試験の継続時間を指定します。
 ランダム振動試験の場合 : 振動のエネルギー分布を定義するパワースペクトル密度(以下、PSD)と試験の継続時間を指定します。

◆ JIS Z 0200:2023の主な改正内容
国際規格であるIS0 4180が2019年に改定されたことに伴い、JIS Z 0200が2023年に改正されました。
1 振動試験の区分
 輸送条件ごとに試験レベルを示すため、振動試験に一般輸送と悪路輸送の2つの輸送区分が規定されました。
2 ランダム振動試験と正弦波振動試験
〇振動試験はランダム振動で行うことが基本となりました。正弦波振動はランダム振動が利用できない場合にだけ行うことになりました。
〇ランダム振動と正弦波振動について、輸送区分ごと、さらに輸送中の積付け方向が既知の場合と予測できない場合について試験条件が規定されました。
〇一般輸送のランダム振動は2段階で行い、各段階での振動のエネルギー分布は、PSDプロファイルAとBで規定されました。PSDプロファイルAは舗装された路面状態が非常に良い幹線道路を走行した場合のもので、PSDプロファイルBは幹線道路から外れた一般道路を走行した際のものです。
〇悪路輸送のランダム振動では、一般輸送に比べ、広い振動数において振動のエネルギー分布が高いPSDプロファイルCが規定されました。

一般輸送のPSD                   悪路輸送のPSD

3 積重ね振動試験
 荷重を負荷した振動試験を行うため、新たに振動試験方法及び試験条件が規定されました。

◆ おわりに

 振動試験機は製品開発や品質保証に不可欠なツールです。当センターの振動試験機を積極的にご活用いただき、製品の信頼性向上にお役立てください。予約状況が混み合うこともありますので、お早めのご予約をおすすめします。 
 当センターでは、試験方法に関する技術相談、試験結果の詳細な解説や改善提案も行っています。ご不明な点、ご相談がございましたら、お気軽に当センターまでご連絡ください。 専門スタッフが丁寧に対応し、お客様の製品開発をしっかりとサポートいたします。 皆様の製品品質向上に貢献できることを心よりお待ちしております。

問い合わせ先  

工業技術センター システム技術室
TEL : 082-242-4170(代表)
E-mail : kougi@itc.city.hiroshima.jp

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