金属材料は、金属原子が規則正しく配列してできた結晶の集合体であり、一般的には多結晶体です。金属組織とは、結晶の配列、大きさ及び構成のことです。
金属組織は、化学組成の違いはもちろんのこと、加圧などによる変形、そして熱処理の影響により変化します。例えば、テレビなどで日本刀を作っている様子をご覧になった方は多いと思います。作刀工程では、日本刀の材料となる鉄を真っ赤になるまで加熱して、金槌で叩いて鍛え、最後に水で急冷します。この作業によって、刀身中の金属組織を変化させて、硬さと粘りのある鉄へと変質させています。
金属組織と材料特性は密接な関係があり、金属組織を観察することで、材料の特性を予想することができます。今回は、金属組織の観察方法について紹介し、金属組織観察が問題解決につながった事例を紹介します。
〇金属組織の観察方法について
金属組織観察用の試験片は、図1の工程で作製します。当センターでは、この作業に図2の機器を使用しています。
図1 金属組織観察までの工程