地域産業活性化推進事業・・・・・若手鋳造技術者研究会


 当センターの7年度事業として、講習会、研修会の他、 地域の中小企業のニーズに対応した技術交流事業、特定技術指導診断事業、 新技術共同研究事業、自動車関連新技術支援事業、地域産業活性化推進事業等、 多種にわたる事業を実施しています。 今回は、そのなかの地域産業活性化推進事業の若手鋳造技術者研究会を紹介します。

■担当者

○第二研究室
○技  師  中村 真知也 
○専門分野
 金属材料

○業界の現況と研究会の発足  
 広島市は自動車産業を柱に一般機械器具製造業などの 機械関連産業がその製造出荷高の約70%を占めており、 鋳物はこれら機械の部品として重要な役割を担っています。 しかし、長引く不況と記録的な円高の中でコスト低減の要求から厳しい経営を迫られています。 さらに、製造業全般に言えることですが、若手技術者離れの傾向が近年著しく進み、 とりわけ鋳造業界においてもこの問題が大きな課題として取り上げられています。

 このような状況の中、広島の鋳物業界においても、 新しい鋳造法は作業環境の改善に取り組む動きが出てきていますが、 完成品としての製品が少なく、 専業者による経営の企業が多いために各社単独ではなかなか多くの課題に取り組むことは難しい状況にあります。 そこで新しい鋳造技術の速やかな導入と作業環境の改善を図るための 鋳造プロセスの研究や鋳鉄の特性を生かした利用法などの研究活動を通して、 鋳物工場で働く若手技術者のさらなる技術力向上と広範囲な交流を目的として本研究会が発足しました。


○研究会の内容と経過     
 会員は広島市とその周辺地域の鋳物工場で働く若手技術者の方達で現在14社15名の構成となっています。 会の指南役であるアドバイザには S日本鋳造工学会中国四国支部長の塩田俊雄近畿大学工学部教授に就任項いております。 会は年6回ほぼ2ヶ月に1回の割合で広島市工業技術センターを主会場として開催しています。 研究会は平成6年度より開始され、当初は鋳造技術の要素の中から、 特にアンケートにより鋳造方案と溶解の技術について研修を主体として実施しました。 主な内容は以下のとおりです。

 第1回研究会(H6.6.8)では、 @参加者自己紹介、 A研究会の規約について協議、 ♯特別講演「鋳鉄の製造理論と未来への応用」として アドバイザである近畿大学工学部教授塩田俊雄氏に講演項きました。

 第2回研究会(H6.9.14)では、@鋳造工場の現場課題について討議し、 A特性要因図を作成し、研究会の方針を決定した後、 B当センターの施設見学を行いました。

 第3回研究会(H6.11.2)では、 @鋳造方案に関する現場課題について第2回研究会の結果報告した後、 A特別講演「鋳造方案技術の基礎」について 帝京大学工学部教授松田政夫氏を講師に迎えディスカッションしました。

 第4回研究会(H6.12.9)では、 @特性要因図より溶解に関する悩みの多いことを確認した後、 A特別講演「鋳物の溶解に関するお話」について ヨシワ工業(株)常務取締役杉本訓三氏にキュポラを中心にお話項きました。

 第5回研究会(H7.2.10)では、 @大和重工(株)本社鋳造工場・機械工場を見学させて頂き、 A現地技術講演として「鋳造品の品質管理技術について」 大和重工(株)鋳造工場長である長沼静氏を講師に迎えディスカッションしました。

 第6回研究会(H7.3.24)では、@平成6年度の活動報告をした後、 A特別講演「鋳鉄溶解における接種技術について」 有限会社日下レアメタル研究所常務取締役技術室長千田昭夫氏を講師に迎えて勉強しました。


○今年度の活動と今後の課題  
 平成7年度については、6年度の鋳造技術の研修から学んだ理論を実践の上から理解するため、 まず、鋳鉄の特性を炉前試験等の現場試験法と組織・強度などの関連を各会員が自己のデータとして 会得できるように会を進めています。7年度の第3回研究会(H7.9.21)では、 現場試験実施にあたり、(株)宇部スチール技術部技術課長糸藤春喜氏より 「鋳鉄の溶湯処理と組織」について講演と指導をいただいた。 ディスカッションでは、溶湯処理での技術的な質問も活発におこなわれ、 今回の現場試験法では、実際の操業状態を的確に捉え、実験をする上でその過程を細切れにしつつ、 的確に再現していく必要があり、不良品は経営的にはマイナスであるが、 自分の技術的知識を高めるために重要な教材であるため、 このチャンスを有効に活用して項きたいとの貴重なお話しをうかがいました。 第4回研究会(H7.11.17)では「品質管理における炉前試験の役割」として ヨシワ工業(株)常務取締役杉本訓三氏を講師に迎え、 鋳造の最近の新しい管理用の試験である鋳物メータについて勉強しました。 これは、炉前試験を3種類のカップ(接着剤入り、無添加、Te入り)により熱分析を行い、 チル化傾向、黒鉛形状を正確に予測して、 製品の欠陥を防止するためにおこなうものです。 こうした研究会では、単に聴講するばかりでなく必ず講演の途中や終わりにディスカッションの場を設け、 各会員の現場課題の解決を図るための意見の交換の場として成果を得ています。 今回の現場試験では、試験片採取のため各社により炉前試験を実施しています。 炉前試験にはチル試験、湯流れ試験があり、事務局より同一のシェル鋳型、 金型を支給し試験片を作成しています。 工業技術センターでは、引張、抗折、硬さ等の材料試験と顕微鏡による組織観察から製品の鋳造欠陥、 問題点などのチェックをおこない炉前試験と組織、機械的性質、材質判定、鋳造欠陥との関係等のデータを整理し、 各社の抱えている材質管理、品質保証、欠陥対策、各種の技術的諸問題の解決に役立てます。

 来年度の活動目標については未定ですが、アンケートで鋳造方案、 溶解に次いで悩みの多かった廃砂、特に集塵ダストの有効利用についての勉強を計画しています。



研究会でのグループディスカッション

現場試験での試験片採取の様子

 

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